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健康セミナー
2002年分

☆は現在在職しておりません。

第85回:生涯現役をめざして

泌尿器科 山田 拓己
(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医/大学功労会員)

血尿について
健康診断や人間ドックなどで尿潜血を指摘された場合、重病ではないかと心配になりますが、その後の精密検査にて異常が発見される確率は百人に一人以下と低いので、あまり神経質になる必要はありません。しかし、腎臓ガンや膀胱ガンの初発症状が尿潜血ということも多く、医療機関を受診せず放置するのは危険です。当院では、エコー検査や尿中にこぼれてくるガン細胞を調べる尿細胞診検査などを行うことによって、これらの危険な病気を診断しています。その結果、異常がなければそれ以上の検査は不要です。正常と判定された場合の多くは、腎の一時的な鬱血による無害な出血ですぐに消える事はありませんが進行する事もありません。異常が見つかった場合は、CTスキャンや膀胱鏡による検査へと進みます。これらの検査は外来通院のみで行えます。

前立腺マーカー(PSA)について
六十歳以上の年齢になると、前立腺ガンの頻度が多くなり、その数は食生活の欧米化と共に増加しています。前立腺ガンの多くは、ゆっくり進行するので、他のガンほど恐れる必要はありませんが、早期に発見できればそれに越した事はありません。前立腺マーカー(PSA)は、感度の高い検査なので年に一度は検査する事をお勧めします。前立腺マーカー(PSA)の正常値は4.0以下ですが、これより高い場合は、前立腺生検を行います。前立腺に細い針を六ヵ所刺して組織を採取する簡単な検査ですが、検査後に高熱を出したり、強い血尿が続く事が希にありますので、二泊三日の検査入院となります。

第84回:生涯現役をめざして

事務長 橋本 俊則 ☆

昨年より、「医療改革」という言葉を耳にする機会があると思います。
日本は世界に類を見ないほど整った国民皆保険制度があります。その制度が総医療費三十兆円を超えるようになり、見直しが行なわれたのです。
医療機関(病院・診療所等、以下病院とする)は、健康保険証を使用し診療を受けようとした患者様を治療する場合、健康保険法に基づき治療を行い、法に定められた報酬をいただきます。それを診療報酬といいます。今年四月に改定された報酬は史上初のマイナス改定となり病院経営に大きな打撃を与えています。
また、今年十月以降、入院期間が180日を超えると特定療養費化(入院料の一部を患者様に負担してもらう)、老人保健の負担割合の変更、また、来年には保険料率の引き上げ等、患者、国民負担増と医療に関わる改革が行なわれました。
病院の報酬は各病院の規模、各規準、各指定等により異なりますし、患者負担金も異なります。
最近、よく「まだ自宅に帰るのが不安だが退院させられた」ということを聞きます。病院の基準のなかに平均在院日数という基準があり、二十一日、二十六日と平均在院日数により報酬が変わる為、病院では早期退院を進めています。
入院治療を要する間は退院となる事はないですが、病状が安定し、在宅治療、通院治療が可能と診断した時点で退院となります。家庭の事情や介護者等の事情で退院できない場合には各病院の窓口に相談されれば良いと思います。

第83回:~日常の健康管理で動脈硬化の予防を~

内科 小林 信彦 ☆
(日本内科学会認定内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医)

近年の検査技術の進歩は目覚しく、循環器の領域において最も詳しい検査とされる心臓カテーテル検査も十年前とは比較にならないほど安全に行われています。そうした検査は皆さんの現在の状態を把握することに関しては大変役立ちます。
しかし将来的な病気の発生を〝予測〟することは困難です。例えば心筋梗塞は心臓の血管が詰まる病気ですが、必ずしも細くなった血管が詰まりやすいというわけではありません。逆に心筋梗塞の半分は、これまで細くなかった血管が、ある日突然詰まってしまうと考えられています。ですから人間ドックで検査を受け、全く異常はありませんと言われた人が、その帰り道で心筋梗塞を起こすという場合も実際にあるのです。
それでは、心筋梗塞や脳梗塞など血管が詰まる病気を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
 そうした病気の背景には動脈硬化と呼ばれる血管の老化現象があります。高血圧、糖尿病、高脂血症など、毎日の食事や運動に影響される生活習慣は動脈硬化を進行させることが知られています。
我々の体は狩猟生活を送っていた太古の昔から変化しておらず、飢えを防ぐため食事は貴重なエネルギー源として効率よく体に貯えられ、いったん体に付いた脂肪はなかなか減りません。ですから食べ物にあふれ、体を動かす事が少ない現代の生活は、体内脂肪分や糖分をどんどん増やしてしまい、糖尿病や高脂血症は増加の一途をたどっています。
食事は野菜や魚など和食主体の料理で腹八分目とし、週三~四日は三十分程度早足で歩く、そうした生活習慣が血管の老化現象を予防してくれます。

第82回:生涯現役をめざして

外科 安藤 正幸 ☆
(日本外科学会認定医 日本消化器外科学会認定医)

日常診療のなかで、一番気をつけなければならないのが、患者さんのもつ病気が命にかかわるかどうかという事です。
 お腹が痛い等の具体的に症状に現れている場合は、順序だった検査がなされ、病気の診断がされます。しかし命に関わる隠れた病気の可能性もあり、時には、全身検索も必要であります。
 皆さんは命に関わるというとまず思い出すのがガンという病気だと思います。
 ガンの診断は部位によっても違いますが、最終診断はガン細胞の有無で決まります。つまり、腫瘍の一部をとり、顕微鏡下に病理診断をして、ガンであるかどうかを判断します。
 その診断法には、腫瘍を鉗子でつまむ生検法や、針を刺し細胞を吸う吸引細胞診等があります。しかし、いずれの場合も腫瘍の一部の細胞をとり、みるわけですから、ガンと診断された場合はガンですが、ガンではないと診断されてもガン細胞が腫瘍のどこかに潜んでいる場合があるのです。
 また、うまく細胞が採れない事もあります。他の検査と合わせて総合的に判断をしますが、ガン細胞が出なかった場合でも状況により定期的な再検査が必要と考えます。あまり、神経質になり過ぎるのも良くありませんが、命に関わる病気の診断には多分大丈夫という楽観的な判断はできません。
 皆様も、医師と相談しながら、自分の健康管理は自分で守り、生涯現役をめざしていただければと思います。

第81回:生涯現役をめざして

放射線科 山田 勝治 ☆
(日本医学放射線学会専門医 日本消化器病学会専門医)

レントゲン博士によって発見されたX線によって、初めて間接的に人体の内部構造が透見可能になってからわずか百年余りですが、近年超音波・DSA・CT・MRI等々のハイテク技術に支えられた診断装置が開発されて、これらの画像診断機器と造影剤の組み合わせによる画像診断が盛んに行われるようになってきており、また近年のこれら画像診断機器の進歩には目を見はるものがあります。
使用する機器の種類にもよりますが、画像作成に必要なデーターの採取時間が著名に短縮される等、患者さんにとってよりやさしい検査方法になってくるとともに、検査対象も頭の先からつま先までが、よりきれいな画像で必要に応じて立体的に表示する事も可能となり、単に形態を表示するのみではなく、動態をシネ表示したり機能的な変化までもが表示可能になってきており、早い段階での病気の検出や良性・悪性の鑑別や病気の進展範囲の決定等々、現代医療にとって重要な役割を担っております。これらの画像診断機器による画像を利用してのIVR(介入治療)や胸腔鏡下・腹腔鏡下手術等の適応症例も増加して患者さんにとってより良い治療方法の選択範囲がひろがってきています。生涯現役をめざす為に健康は何物にも変えがたいものであり、何らかの症状がある時は勿論の事、検診や人間ドック等あらゆる機会を利用して画像診断を受けられる事を望んでいます。

第80回:胃がん集団検診

内科 西村 健司 ☆
(日本内科学会認定医 日本消化器内視鏡学会認定医)

わが国の胃がん死亡率は昭和40年ピークとして年々減少傾向にあります。これは国家的規模での胃がん集団検診の成果によるものと思われます。
 現在、胃がん検診は、X線検査、ペプシノゲン法、内視鏡検査の3方法あります。X線検査は、検診車でバリウムを飲む検査ですが、この検査の全国集計胃がん発見率は受診者の0.2%、そのうち早期胃がんの割合は60%です。ペプシノゲン法は血液中のペプシノゲンを測定することで、胃がんの高危険群である萎縮性胃炎を拾い上げ、胃がんを発見する方法です。ペプシノゲン法の胃がん発見率はX線検査と同等の0.2%、そのうち早期胃がんの割合は70%です。ペプシノゲン法は安価で簡便なので最近普及し、一部の地域集検と企業などの職域集検で行われています。しかし、萎縮性胃炎を背景としない未分化がんの発見率が低いという欠点があります。他方、内視鏡検査の胃がん発見率は0.4%、そのうち早期胃がんの割合は80%といずれも高率です。内視鏡検査の成績と比較すると、他の検査は早期胃がんを中心に見落とし例が多くある事になります。
 内視鏡検査技術は年々進歩し、今ではずいぶん楽に検査を受けられます。また、X線検査とペプシノゲン法の陽性率はいずれも受診者の20%ですが、陽性者はいずれにしても精密検査として内視鏡を受ける必要があります。
 現在、経済的な問題もあり内視鏡検査による集検は職域を中心とした人間ドックなどに限られていますが、将来はすべての胃がん検診が内視鏡検査になると思います。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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