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健康セミナー
2007年分

☆は現在在職しておりません。

第145回:生涯現役をめざして

内科 吉田 正史 ☆
(日本内科学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医 消化器病学会専門医)

ピロリ菌という菌が胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症、再発に関係しているという事がよく新聞やテレビで取り上げられ、だいぶ市民権を得てきた様に思われます。勿論、潰瘍の100%にピロリ菌が関与している訳ではありません。実際にピロリ菌に感染しているかどうかは、検査して見なければわかりません。では胃潰瘍、十二指腸潰瘍がありピロリ菌がいたらどうするのか。
 治療の第一選択はピロリ菌の除菌療法をします。除菌療法とは胃酸を抑える胃薬と菌を殺す抗生剤を併用して内服することです。そして除菌をした後に、再度ピロリ菌が消えたかどうか検査します。以前は現在使用している抗生剤で除菌した人の約9割の人が除菌に成功(菌が消える)していましたが、最近は成功率が低くなってきました。
これはどういう事なのでしょうか?
例えば植物の害虫を駆除するのに殺虫剤を使いますが、薬に強い害虫がいて、この害虫が生き残って繁殖すれば殺虫剤が効かなくなるのと同じ様に、抗生剤が効かないピロリ菌が出てきているという事です。それで、除菌に不成功(ピロリ菌が消えない)だった患者さんには少量の胃潰瘍の薬を継続して内服していただき潰瘍の再発を予防していました。ところが最近、除菌に失敗した患者さんに使える除菌薬の認可が厚生省からおりました。患者さんの中にはあえて除菌しないほうが良い方もいますので、除菌療法をしたけど消えなかったという方は一度相談されてみては如何でしょうか。

第144回:日本の医療とアメリカの医療

循環器内科 桑田 雅雄 ☆
(日本内科学会認定医 日本外科学会専門医 日本循環器学会認定専門医 日本カテーテル治療学会認定医)

今、日本では産科医師不足が大きな問題です。産科診療は、医師の中で最も忙しい勤務を行っています。ところが、日本の医療訴訟は産科が最も多く、今の状況が続くと、産科医師の2人に1人は一生涯のうちに医療訴訟に遭遇します。しかし、日本の産科の医療レベルは高く、実は、出産時の新生児および妊婦の死亡率は世界最低であり、それぞれ0.33%と0.004%で、医療先進国のアメリカの半分以下なのです。アメリカの出産費用は約120万円かかり、日本の約3倍。つまり、日本はアメリカの3分の1の費用で2倍安全な出産を保障しています。つまり、日本の安全な医療は、従事する産科医師の労働基準法を度外視した献身的な医療によるものなのです。
しかし、医師が神様ではない限り100%安全性はありません。GDPの15%を医療費にかけるアメリカですら、フロリダ州からは産科医師はいなくなりました。幸いなことに、日本の循環器疾患の診療に携わる、内科系医師も外科系の医師も、アメリカの約3分の1の医療費で、アメリカ以上の安全性の医療を提供できるように努力し、様々な研究を行い、80歳以上でも心臓手術を受けることが可能になってきています。その多くが労働基準法を度外視した献身的な医師の努力で支えられていることには変わりありません。

第143回:本当に救急ですか?

内科 鷺谷 敦 ☆

平成19年6月より、東京消防庁では救急搬送トリアージという一般には聞きなれない試みがなされるようになりました。これにより救急隊は緊急性が認められない場合に、自身での医療機関受診を勧めるようになります。
トリアージとはもともと災害時に負傷者を搬送するための、優先順位決定のためのシステムですが、それを一般の救急搬送時に転用したものと考えるとよいでしょう。
例えば災害時、既に死亡している方の搬送は負傷者を搬送したあとになります。これは、より救命率の高い、より緊急治療を必要とされる方を優先的に搬送したいがための止むを得ない方策です。一般の救急搬送では、明らかに重症ではない、歩行が可能、治療中の重症疾患がない、受傷部位が1か所である、意識が清明である、大出血がないなどが自己通院の対象となり、搬送を遠慮願う可能性があります。
このような場合分けが必要となった背景には、あまりにも自己中心的な理由での出動要請が多く、救急搬送が必須の患者様のもとへの到着が平均で数分遅れるようになったからと言えます。心肺停止時のこの数分間は救命のためには非常に貴重です。3日前から同様の症状があった、日中は仕事があり来院できない、昼間の外来受診では待ち時間が長い、病院に行くための車がない、などに救急要請の必要性がはたしてあるでしょうか。
将来ご自身が急病となり、本当に救急搬送の必要性が生じたときに、救急車が出払っていてすぐには行けませんという事態にならないよう、私たちは日頃から安易に救急隊の出動要請をしないことを心がけるべきではないでしょうか。

第142回:鼻出血の応急処置

耳鼻咽喉科 合津 和央 ☆
(日本耳鼻咽喉科学会専門医)

急に鼻血が出た場合、皆様はどういう応急処置をしますか?とりあえず上を向く、鼻を冷やす、首の後ろを叩くなどの処置をする方が多いと日頃感じます。これらは全て誤りです。
指を切って血が出たら無意識に指を押さえますが、鼻血の場合も止血の基本は同じです。鼻血の大部分は鼻の入り口から2~3cmの部位からの出血です。椅子に腰掛け、顔は下を向いて鼻を片手で強くつまみ圧迫するのが正しい応急処置です。脱脂綿を少し大きくちぎって鼻の中に詰めてから圧迫すると鼻の中の隙間がなくなり、より効果的に止血できます。ティッシュペーパーでもよいですが紙は意外とごわごわして鼻粘膜の傷が悪化する場合があるので、脱脂綿を常備しておきましょう。
ここでのポイントは下を向くこと、椅子に腰掛けることです。上を向いてのどへ回った血液を飲み込むと、後で必ず吐き気がおこります。血液は飲み込まずに口から吐き出してください。人間は血を見ると興奮して血圧が上がり出血の勢いが強くなりがちです。立っていると落ち着かないので腰掛けてじっと5~6分圧迫を続けてください。大部分の鼻血はこの方法で止血できますが、応急処置後も鼻血を繰り返す場合は耳鼻科での治療を勧めます。
高齢の方、高血圧の方では鼻の後方の太い動脈が破裂し出血する場合があります。出血量が非常に多く、下を向いても口から血が出る。両方の鼻から血が出る場合などの症状があったら自分では止血できない可能性が高いので、救急車を利用してすぐに耳鼻科での治療を受けてください。

第141回:生涯現役をめざして

眼科 椎葉 義人 ☆

外来で診察していると、「気づいたら眼が赤くなった」「知り合いや友人に眼が充血していると言われた」というような主訴で来院される患者さんがよくいらっしゃいます。そういうとき私は患者さんに、痛みや痒み、眼脂の有無を聞きます。これらの症状は無い、とお答えする患者さんがいらっしゃいます。診察すると、球結膜(白目の部分)の下に出血していることがあります。これを球結膜下出血といいます。出血は充血と違い平坦で非炎症性のものが多いです。たいていの場合、1~2週間ほどで自然に消退することが多いです。ただ、糖尿病や高脂血症や高血圧を合併している場合、脳梗塞や不整脈などで血が固まりにくくなる薬を飲んでいる場合、白血病などの血液疾患を患っている場合などは再発や治りが遅いときがあります。そういうときには血管を収縮させる点眼薬を使うことがありますが、視力には影響は出ないので安心していいと思います。しかし、痛みや痒み、眼脂などの症状を訴える場合も時々あります。これらは、ウイルスや細菌などによる結膜炎に球結膜下出血を合併している場合です。こうした場合には抗生物質点眼や炎症をとる目的でステロイド点眼を使用して経過観察するとともに、他人に伝染する恐れもあるので、場合によっては学校や仕事を休まなくてはいけないこともあります。特に夏はプールに入る機会が多いため、こういった症状が出たときには注意が必要です。球結膜下出血にもさまざまな原因がありますので迷ったら眼科受診をすすめます。

第140回:生涯現役をめざして

脳神経外科 森 茂夫 ☆
(日本脳神経外科学会専門医)

脳卒中とはどんな病気かご存知ですか?脳卒中とは脳の血管がつまったり、破れるために、脳がダメージを受ける病気です。脳卒中には、脳の血管がつまる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血、クモ膜下出血があります。脳卒中の主な原因は動脈硬化ですが、動脈硬化とは何かご存知ですか?
 動脈硬化には加齢、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などが関係しています。これらにより動脈が傷ついたり、破れやすくなったりします。また、血液がドロドロし、動脈の内壁に付着しやすくなるため、動脈の内腔が狭くなったり、つまったりして脳卒中を起こしやすくなります。脳卒中ではどのような症状があらわれるかご存知ですか?突然に半身のマヒやシビレ、ろれつが回らない、物が見えにくいなどの症状があらわれます。時には頭痛や吐き気、意識を失って倒れる場合があります。脳卒中の発症を予防するためにはどうしたらよいかご存知ですか?脳卒中発症の最も危険な因子は高血圧です。ほかに高脂血症、糖尿病、心臓病、喫煙、過度の飲酒などがあります。さらに肥満は高血圧、高脂血症、糖尿病を引き起こす危険因子でもあるため、食生活や運動不足を改め肥満を解消しましょう。なぜ肥満がよくないかご存知ですか?内臓脂肪がたまると脂肪細胞が大きくなり、高血圧、高脂血症、糖尿病を引き起こす物質が放出され、脳卒中の危険が高まります。過食や運動不足を改め、肥満の予防と解消に努めましょう。

第139回:生涯現役をめざして

外科 兼子 順
(日本外科学会認定専門医 日本消化器外科学会認定医 厚労省認定臨床研修指導医)

検診とは、諸疾患の好発年齢に達する頃から検査の対象となり、毎年検査するのが理想的です。検診は、出来るだけ簡便かつ費用のかからない方法でスクリ―ニングします。疾患が存在しても症状として現れないことが多々あります。
例えば、胆嚢に出来るポリープは殆ど症状がありません。大部分がコレステロールポリープという良性疾患です。しかし、大きさや形態によっては悪性も否定できず、手術を勧められる事も少なくありません。
また、胆石も症状なく、検診や何か他の検査で偶然発見されることも少なくありません。胆石は胆嚢ポリープと違って、石が胆嚢の出入り口に詰まって胆嚢炎を起こすと右上腹部に激痛がおこり救急車で搬送され緊急入院を余儀なくされることが多い疾患です。
膵臓の疾患のうち、膵炎は背部の激痛症状が多いので医療機関を緊急受診する確率が高く、血液・尿・画像検査で診断は比較的容易です。しかし、膵臓は沈黙の臓器と言われるほど癌の早期発見が困難な臓器です。腹部エコーや単純CT検査ではその存在を検出できないこともあります。検診として早期発見が困難な癌の一つです。
消化管(食道・胃・十二指腸や大腸)の検査は昔に比べて内視鏡の進歩により患者の苦痛も少なく、癌の早期発見や内視鏡を用いた治療が増えつつあります。検診として上部消化管はバリウムによる造影検査、下部消化管は便潜血反応で簡便にスクリーニングされ、再検査が必要な方は内視鏡で検査されます。
しかし、症状がある場合は検診とは関係なく早めの医療機関受診をお勧めします。

第138回:生涯現役をめざして

整形外科 林 秀剛 ☆
(日本整形外科学会専門医)

整形外科の最新医療というテーマからは少し外れますが、本日は整形外科外来でよく質問されるヒアルロン酸とコラーゲンの健康食品の、骨・関節への影響や効果についてお話します。
ヒアルロン酸はムコ多糖類の一種で、整形外科領域では関節液の中に多く含まれ、関節軟骨の摩耗を防ぎ、老化を遅らせる効果があります。
実際、整形外科外来では関節内などにヒアルロン酸を注射することにより一定の効果を認めています。ヒアルロン酸を多く含む食物としては、サケ、カレイ、手羽先、ウナギ、豚の皮膚などがありますが、吸収が悪く、吸収されても加齢とともに体内で合成されにくくなるため、関節内注射の様な直接的な効果は期待薄です。
コラーゲンはたんぱく質の一種で、人間の皮膚や、骨・軟骨・靱帯・腱などの弾力性が必要な部分に多く存在し、体内たんぱく質の約30%を占めています。たんぱく質であるため、普通の食事によって体内に取り込まれ、消化された後、アミノ酸として吸収され、再度たんぱく質に合成され、一部がコラーゲンになるのです。ヒアルロン酸と同様に、加齢により体内合成力が低下するため、関節や腱の弾力性が低下してきます。何とか老化を食い止めて、若さを保ちたいという気持ちは大変よく分かります。しかし、コラーゲンを食品としてとっても、吸収の過程でアミノ酸としてばらばらに分解されるため、同じ組成のコラーゲンに再構成される確率は限りなく低く、直ちに効果が現れるということはありません。
ただし、通常の食事からとるたんぱく質の補助(サプリメント)としてコラーゲン食品を摂取することで、体内でのコラーゲン合成の何らかな手助けになるかもしれません。もしコラーゲン食品をどうしてもとりたいならば、ビタミンCや鉄分を一緒にとると吸収が少しだけ高まるので、信じるものは救われるではありませんが、試してみてはいかがでしょうか。

第137回:舌が痛い、ひりひりする

歯科口腔外科 秋月 弘道
(昭和大学客員教授 日本口腔外科学会専門医/指導医 介護支援専門医)

舌の痛みには、舌の表面の外傷や細菌感染など局所の病変や貧血、ビタミンB12の欠乏などの全身的な病気の症状として現れるものがあります。
これらの場合は舌の表面に異常が見られるのが通常で、原因を解明して治療すれば痛みを止めることができます。また、見た目には、舌に明らかな異常が認められず、患者さん本人にしか理解されない舌痛を訴える事があります。
昼間の目覚めている時間に舌の先端から側縁の表面がヒリヒリ、チリチリとします。ただし、食事中には痛みをあまり感じず、味覚もあまり変化しません。食事のあとや会話のあと、また寝る前などに痛みが強くなる場合が多くみられます。これらの症状は舌痛症と呼ばれています。精神的な因子や神経症的な原因によることが多く、神経を安定させる薬や気分を高める薬で治療されます。舌痛症の多くは、これらの治療により改善が見られます。
しかし、このような治療では症状が軽減せず、数年以上も、舌の痛みに悩まされている症例もみられます。これらの症例は唾液の分泌の低下を伴っていることが多く、見た目にはなかなかわからない微小な外傷やカンジタ菌の感染が影響を及ぼしていることがあります。
診断にあたっては、唾液の分泌量や病原菌の検査さらに、血液検査や心理テストなどさまざまな方向から検査を行う必要があります。治療法の方針としては、保湿剤やうがい薬による口腔粘膜の保護、歯や義歯の研磨、口腔ケアなど基礎的な処置で口腔状態を改善するとともに、唾液分泌低下や真菌感染症への対応など総合的な治療を行います。

第136回:下肢閉塞性動脈硬化症

外科 伊藤 雅史 ☆
(万国外科学会・国際消化器外科学会正会員 日本外科学会指導医 日本消化器外科学会指導医/専門医 日本臨床外科学会・日本脈管学会評議員 日本透析医学会会員)

生活の欧米化に伴い動脈硬化による疾患が増加しています。その動脈硬化によって足の血管が狭くなったり閉塞して、足の血流が悪くなった状態を閉塞性動脈硬化症と呼びます。
初期には足が冷たい・しびれるという症状ですが、進行すると間欠性跛行と呼ばれる症状が出現します。これは歩いているうちにふくらはぎや太ももが痛くなり歩けなくなりますが、休むことにより痛みが取れて再び歩くことができるという症状です。更に重症となると安静時疼痛と呼ばれる、じっとしていても痛みがある状態となり、最も重症になるとささいなキズが治らない潰瘍を作ったり、いわゆる壊疽(えそ)となり足を切断しなければならない事態となります。
喫煙や高血圧、高脂血症、糖尿病を持つ人は特に注意が必要ですが、同様の症状は脊髄などの病気でも出現することがあり、正確に診断する必要があります。足の脈を触診するほかに、簡単な検査では数分間でできる脈波検査があり、血流状態や血管の硬さを調べます。症状のある方はもちろん、無症状でも先に述べた危険因子を持つ方は、年に数回の検査が勧められます。
また、現在では、体に負担のかからない血管エコー検査やCT検査、MRI検査で十分に診断できるようになりました。治療も薬物療法や手術、血管内治療など、その発達は著しいものがあります。

第135回:生涯現役をめざして

内科 高梨 日出雄
(日本内科学会認定医)

本日は最近話題の、メタボリックシンドロームについてお話したいと思います。日本などの先進国では栄養過多と運動不足を背景として、動脈硬化疾患が増加しています。メタボリックシンドロームは糖尿病、高脂血症、高血圧症などを含めた、生活習慣病の新しい枠組みと考える事ができます。すなわち動脈硬化のリスクが高くなっている状態で、内臓脂肪の蓄積に加え、糖尿病、高脂血症、高血圧症などが重複している状態と考えられます。このような場合、動脈硬化から心筋梗塞、脳梗塞を合併しやすい事が知られています。ここにメタボリックシンドロームの診断基準を示します。

(1)ウエスト周囲径
 男性85cm以上 女性90cm以上

(2)糖尿病、高脂血症、高血圧

(1)は必須で、(2)のうち2項目をみたす場合をメタボリックシンドロームと診断しています。

 まず、肥満については2つのタイプがあり下半身肥満の“洋梨型”と上半身肥満の“りんご型”があり、りんご型の方が内臓脂肪型肥満で生活習慣病になりやすい事が知られています。内臓脂肪は皮下脂肪より落としやすく、体重の5%減で効果があります。そこで改善するためには食事、運動療法が有効です。食事療法では1,200~1,800kcal/日を目標にします。注意点としては早食い、濃いもの好き、揚げもの、炒めもの好きに気をつけましょう。運動では軽い運動(散歩で十分です)を継続する事が大切です。
やや太りぎみのみなさんもちょっとした工夫でメタボリックシンドロームおよび予備軍を克服していきましょう。

第134回:生涯現役をめざして

理事長 前島 静顕 ☆
(東京医科歯科大学大学院臨床教授 日本外科学会認定指導医 日本消化器外科学会認定医)

新年明けまして、おめでとうございます。昨年2006年は皆様にとってどんな年だったでしょうか。例年の如く、身近な問題から地球規模の大きな問題まで、実に多くの課題が提示されました。さて、毎年、年末の恒例となりました、日本漢字能力検定協会が全国公募して行う「今年の漢字」が昨年12月12日に京都清水寺で発表されました。約10万人公募の第1位は「命」でした。親子の殺人事件、学校でのいじめによる子供の自殺や、高校生の必須科目未修による学校長の自殺、後を断たない飲酒運転事故など命に関する話題がとても印象深かったものと思われます。
「命」と言えばわたしたちすべての医療従事者は人様の命と直接向き合い、かかわりを持つ事を天職と心得ています。皆様既に御承知かと思いますが、我が国が男女ともに、世界の最長寿国となって、20年となりますが、昨年夏発表されました、2005年平均寿命統計で異変がありました。女性は21年連続世界1で85.49才、2位以下は香港・スペイン・スイス・イタリアでした。しかし男性は何と世界第4位で78.53才と、32年ぶりにベスト3からはずれたのです。そして、男女ともに6年ぶりに前年度を下回ったのです。ちなみに男性のベスト3は香港・アイスランド・スイスであります。又、世界のリーダー国とされるアメリカ合衆国やBRICSとして注目される、中国やブラジル・ロシアの平均寿命は低いランキングで20位あたりであります。日本人の平均寿命が2004年より下回った理由はインフルエンザの流行とコメントされましたが果たして真実でしょうか? わたしたち医療に携わる者の一人として是非申し上げたい事は教育や医療に対する財源は、景気の動向や国の財政の分配法に左右されてはならないと言う点であります。医療財源は年々縮小されて来ました。昨年も3.16パーセント減となりましたが、教育や医療への十分な財源供給は日本国民への投資だとの認識を持つべきだと確信しています。これは特に立法・行政にかかわる方々に理解していただきたい、と切望致します。健康長寿は万人の願いであります。わたしたち一人一人が個人レベルでも適切な生活習慣を心がけ、楽しく生きるための目標や夢を掲げ、そして人の為になる事に心からの喜びを感じるようになりたいものです。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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