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健康セミナー
2013年分

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第217回:便秘について

外科 青柳 治彦 ☆
(日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 日本大腸肛門病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 がん治療認定医)

便秘の患者さんは、高齢化社会の影響もあり、国内で2000万人近くまで増加していると推測されています。特に、便秘で苦しんでいる女性の方は多いのではないでしょうか。
「便秘」はよく使われる言葉ですが、はっきりとした言葉のきまりはありません。一般的には「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と言われています。
便秘は大きく分けて2つに分類されます。
一つは「機能性便秘」で、「腸に病気はないが、腸の動きが悪くて便がでない」というものです。このタイプの便秘は、規則正しい排便習慣をつけることや食生活の改善、運動を増やすことなどで大部分が改善されます。これらの生活習慣の改善でも効果がない場合は、酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする薬を服用します。こちらのタイプの便秘は、あまり大きな心配はありません。
もう一つは「器質性便秘」で、「腸の動きは問題ないが、腸に病気ができていて便がでない」というものです。このタイプは、便に血がついたり、急に便秘になったりといった症状が多く見られます。この場合は、大腸癌、大腸ポリープや腸の炎症の病気(虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など)の可能性があります。
機能性便秘か器質性便秘かは、検査をしないと診断できない場合があります。単なる便秘と自己診断しないで、できるだけ早目にかかりつけ医や専門医を受診することをおすすめします。

第216回:ピロリ菌のはなし

外科 吉田 剛 ☆
(外科学会専門医)

 日本人の死因の第1位である「がん」。中でも胃がんは、日本人のがんの部位別死亡者数で肺がんに次ぐ2番目(2011年、国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)、年間約5万人が胃がんで死亡していると言われています。
 その発生要因は食塩摂取、喫煙等さまざまですが、中でもピロリ菌の感染が発がんに関与しているということが一般の方々にも広く知られるようになってきました。
 ピロリ菌は、胃の粘膜に存在する細菌で、アンモニアなどの毒薬をだして、胃に炎症を生じさせます。そして慢性胃炎になると、やがては萎縮性胃炎となり、胃がんや胃潰瘍になりやすい胃の状態に変化していきます。
 ピロリ菌は日本人の約半数にあたる6000万人が感染していると推測されており、特に50代以上の約7割がピロリ菌に感染していると言われています。
 このピロリ菌の除菌治療は、2013年2月21日から「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」が新たに保険適用となり、内視鏡検査で慢性胃炎を認めた場合にピロリ菌感染検査、除菌治療が保険適応になりました。
 ピロリ菌の除菌治療は予防医学の観点からも大変意義のある治療法であり、日本人に多い胃がんが大幅に減るのではないかと期待がかかっています。
ピロリ菌感染検査は外来診療のみならず、人間ドックにて施行している施設もあり、一度お近くの医療機関へご相談してみてください。

第215回:「動悸」の話

循環器内科 那須 学 ☆
(日本内科学会認定内科医 日本循環器学会専門医)

 循環器外来をするとほぼ毎回必ず「動悸がする」という方がいらっしゃいます。ただ、実際のところ本当に治療が必要な「不整脈」が見つかるのは10人に1人ぐらいです。とういうことで、今日は「動悸」についてのお話をしましょう。
 みなさんの話をよくよく伺うと、それぞれ「動悸」という言葉を違った意味合いで使っていらっしゃいます。分類すると、脈が「速い」「遅い」「乱れる「飛ぶ(止まる)」「強い」などに分かれるようです。では質問ですが、この中で「危険な動悸」はどれだと思いますか?
 答えは「該当なし」です(これは意地悪な質問でした)。
 実は「自覚症状のタイプ」や「自覚症状の強さ」は「生命の危険」とほとんど関係がないのです。それどころか「死んでしまうのでは?」という不安を感じて救急車で来院するような方でも、全く不整脈が出ていないことがあります(大勢の前で話すときにドキドキするのと同じで脈が早くなっているだけ、など)。「脈が飛ぶ」という方も、多くは最も良性のタイプの不整脈で治療不要のことが多いようです。
 ちなみに医師が「危険!」と判断するのは、患者様が失神した場合、突然死した家族がいる場合、などです。こうした場合は背後に重症の心疾患が隠れていることが多いからです。
 つまり「動悸」で大事なことは「本当に不整脈なのか?」「不整脈としたら種類は?」「不整脈としたら原因は?」ということです。そのためには心電図や心臓超音波、24時間心電図などの検査が必要になります。わかりやすくご説明しますから、心配な方はお気軽にご相談ください。

第214回:インプラント治療は本当に怖いの?

歯科口腔外科 田中 憲一

最近、某テレビ局や某新聞社によるインプラントバッシングとも言える報道によりインプラント治療は危険、インプラント治療をする歯科医は悪い人と思っている人も多い様に見受けられます。しかし、本当にインプラント治療は悪いのでしょうか?補綴物(咬み合わせを補う物)がどのくらいの期間もつかを調べると、義歯が3~4年、ブリッジが6~7年、約93%のインプラントは10年以上もつという結果もあり、予知性の高い治療と考えられます。そして、脳の反応を調べると自分の歯に最も類似するのはインプラントであり、良く咬める様になり、義歯を取り外しする煩わしさも無く、満足されている方も多くいます。しかし、インプラント治療にも問題があります。全身疾患などの条件によりますが、骨との生着率は、上アゴで約98%、下アゴで約99%であり、動揺した場合は除去が必要となりますが、多くの場合は6~12か月後に再埋入が可能です。上顎洞にインプラントが迷入した、下歯槽神経の損傷・圧迫により下唇にシビレ感が出現した報告もあり、術前のCT検査、無理のない治療計画、そして適切な手術手技が重要となります。トラブルが起きた場合には、すみやかに診断し、適切なリカバー処置をする必要があります。そして、最も危険な医療事故は動脈の損傷です。口腔底部(舌下の下アゴの内側)に方向を誤ってドリリングしたことに気付かず、さらに深部へ進めると動脈を巻き込むことがあります。適切な止血処置がなされないと舌下部の腫脹により気道が圧迫される場合も考えられます。しかし、このような事故が起こることは極めて稀なことです。過剰に不安を駆り立てるだけの一方的な報道に惑わされることなく、冷静にインプラント治療のメリットとそのリスクについて考えてみてください。そして、かかりつけ医に積極的に相談をしてみたらいかがでしょうか。

第213回:『扁桃周囲膿瘍』

耳鼻咽喉科 合津 和央 ☆
(日本耳鼻咽喉科学会専門医)

暑さで寝苦しい夜が続く季節です。熱帯夜にエアコンをつけっぱなしで寝たら冷えて風邪をひいた経験のある方は多いことと思います。鼻水、のどの痛み、咳の3つの症状がそろっている場合は、普通のウイルス性の風邪でまず心配ない病気ですが、のどの痛み、38度以上の発熱、頚の痛みとなると要注意です。
 この症状の場合はのどの左右にある口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)に生まれつき住み着いている細菌が夏バテで体力の落ちた時などに急に増殖して炎症を引き起こした可能性があります。たかが夏風邪と放っておくと、炎症がさらに進行して、耳の後ろに痛みが抜ける感じ、口が開かなくなる、痛みで食物はおろか唾液も飲み込めなくなります。扁桃の奥に膿がたまったこの状態を扁桃周囲膿瘍といいます。
 現在は抗生剤がありますので、きちんと入院して点滴の治療を行えば大半は数日で軽快しますが、抗生剤の無い時代には炎症が悪化するのをくいとめられず、のどが腫れて窒息で亡くなる方も珍しくはありませんでした。
 のどの痛みが左右どちらか片方に強いのがこの疾患の特徴です。普通の風邪とは違い、痛み止めを飲んで自宅安静としても軽快は期待できません。
片方ののどの痛み+顎の下を押すと痛い+38度以上の発熱=注意信号
飲み込めない+口が開かない+耳が痛い=危険信号
と覚えて下さい。症状によっては扁桃に針を刺してたまった膿を抜き取る処置が必要です。このような症状の際は必ず耳鼻科を受診することをお勧めします。

第212回:内視鏡検査の前に抗血栓薬を中止しなくてよくなりました

総合診療科 濱田 節雄
(指導医・専門医:日本外科学会 日本消化器外科学会 日本消化器内視鏡学会 日本大腸肛門病学会 認定医:日本乳癌学会)

今まで脳梗塞や心筋梗塞の予防のために抗血栓薬を飲んでいる方は、内視鏡検査を受ける1週間前位よりそれらの薬を中止するように指示されてきました。なぜなら内視鏡検査で組織を採ったりする時に出血が止まりにくくなる危険性を避けるためでした。しかし欧米では、出血が止まりにくくなる危険性よりも脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまう危険性の方が大きいと考えてそれらの薬を継続したまま内視鏡検査を実施しています。日本でも去年に抗血栓薬を中止しないというガイドラインができて、薬を続けたまま内視鏡検査を実施する事になりました。但し出血の多い処置の場合には薬を中止する時もあります。今後は抗血栓薬を飲んだままで大丈夫ですので、どうぞ安心して内視鏡検査をお受け下さい。

第211回:乳がん検診を受けましょう!

総合診療科 山形 健一
(日本外科学会専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器外科学会認定医 日本癌学会会員)

先ごろ、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(37歳)が乳がん発症を回避するため、両側乳房の乳腺を切除する手術を受けたことが大きく報道されました。彼女の手記によると、10年間闘病生活を送ってきた母親が2007年に乳がんで亡くなっていて、彼女も遺伝子検査を受けたところ、医師から87%の確率で乳がんになると告げられたそうです。たくさんのお子さんの母親であるアンジーの大きな決断。しかしこの予防的乳腺切除はまだまだ一般的ではなく、再建術まで含むと大変費用もかかります。けれどもここはアメリカではなく日本です。わが国ではほとんどの自治体でお金をかけずに乳がん検診を受けられます。平成22年度に埼玉県で乳がん検診を受けられた40~79歳女性は16万3270人で、乳がん発見数は378、そのうちリンパ節に転移がみられなかったステージ0期・I期は238、がん発見数に占めるステージ0、I期(早期がん)の割合は63%でほぼ完治の望める段階でした。また平成22年度の乳がん検診受診率は16%でした。まだ検診を受けていらっしゃらない84パーセントのみなさん、がんが発見されることは確かに怖いことです。けれども今やがんは早期に発見されれば完治可能な病気なのです。当院医師も前島理事長を中心に乳がん集団検診に出動いたします。アンジーるより産むがやすし。みなさん、乳がん検診を受けましょう!

第210回:「箸がうまく使えない・つまずきやすい」という人いませんか?
-頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)のお話-

整形外科 金谷 幸一 ☆
(東京女子医科大学医学部整形外科講師 日本骨粗鬆症学会評議員)

「最近、箸がうまく使えなくて、物を落とすことがある」「つまずきやすくて、みんなから、歩き方がぎこちないと言われる」「階段を下りるのがなんだか怖い」といったことを感じていらっしゃる方はいませんか?もしかしたら、それは、首に原因があるのかもしれません。
 首(頸椎部)には頭(脳)と手足をつないでいる重要な神経(脊髄)があります。これが何らかの原因(加齢性の変化など)で圧迫されると、このような症状が出てきます。このような病態を頸椎症性脊髄症といいます。この疾患は、1956年に初めて報告された概念で、研究の歴史は浅く、まだまだ解明されていないところはあります。治療は、症状が軽いうちはお薬で様子をみますが、ガイドラインで薦められている基準に当たる方には手術治療をお勧めしています。診断技術の向上、手術機械の発展、手術方法の改良により手術治療成績は安定しています(合併症がゼロというわけではありません)。特に椎弓形成術という術式は、日本で考案され世界に広がった方法で、日本がパイオニアです。
 「手術を勧められるのが怖くて病院に来られなかった」という方が時々おられます。しかし、手遅れにならないうちに対処する必要がある疾患です。思い当たる方は、一度、脊椎・脊髄病専門医を受診することをお勧めします。

第209回:最近の「脱腸」事情

外科 兼子 順
(東京医科歯科大学医学部臨床教授 日本外科学会認定専門医 日本消化器外科学会認定医 厚労省認定臨床研修指導医)

みなさんが一度は聞いた事があろう、「脱腸」についてのお話をします。
「脱腸」の正式な医学用語は、その大部分を「鼠径(そけい)ヘルニア」と言います。足のつけね辺り(鼠径部)が突然膨らむ疾患です。「脱腸」と言うくらいだから腸が飛び出すものと思われるかも知れませんが、他に大網(脂肪)や卵巣などが飛び出す場合もあります。
小児の場合と成人の場合では治療法が異なりますので、今回は成人の場合のお話をします。
以前は鼠径部を8㎝程切開し、飛び出している腹膜を切除して、再発しないように腹壁を補強すべく、周囲の靭帯(じんたい)や筋膜を縫い縮めていました。この方法だと、少し離れた部位を寄せる様に縫い縮めるために術後のツッパリ感がしばらく続きました。
25年程前からツッパリ感を減らすべく、メッシュ等の人工補強物で腹壁の補強が行われる様になりました。現在もこの手術法は広く行われています。
最近では、治療法の一つとして鼠径部を切開せずに腹腔鏡を用いて体の内側(腹腔内や皮下)から人工補強物を用いて手術する方法が増えつつあります。
傷口は、へその中と下腹部に5㎜の傷が2ヵ所ですから殆ど傷痕は判りません。術後のツッパリ感も殆ど無いようです。
当院でも数年前から腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を導入し、適応症例数も増加しております。

「脱腸」でお悩みの方は、相談だけでも結構ですので外科外来にお越しください。

第208回:意外と気づきにくい口腔がん

歯科口腔外科 秋月 弘道
(昭和大学客員教授 日本口腔外科学会専門医/指導医)

口の中にできる癌、いわゆる口腔がんは全身の悪性腫瘍の中で2~5%と言われています。日本で最も多く発生するのは舌にできる「舌癌」で、口腔がんの約60%を占めています。口腔がんは舌以外でも舌の下、歯肉、上あごなど、どこにでもできる可能性があり、進行すると生命に関わるばかりでなく、「食べること」「話すこと」「呼吸すること」といった重要な機能が損なわれるため、深刻な問題をひきおこすことの多い疾患です。
一般に口腔がんは、初期には痛みや出血が少なく、口の粘膜の表面に潰瘍やびらん(粘膜の表面にある上皮が剥がれたり傷ついたりしている状態)が見られたり、触った時にしこりを感じることが多いのですが、自覚しにくく、発見が遅れやすいと言われています。また、癌になる前の状態に舌や歯肉、頬の粘膜などに白い斑点や赤い斑点ができる「白板症」や「紅板症」という病態があり、「前癌病変」と呼ばれています。これらの病変は7~20%が進行して癌になると言われています。
口の中は、さまざまな形態、色や硬さの組織や器官から成り立っているため、一般の方には、異常と正常の判別がつきにくい部位です。しかし、口腔がんの診察は、口の中は直接、目で見たり、指で触れることができる部位なので胃や大腸などと違い、内視鏡などの検査は必要ありません。口腔がん検診では、視診と触診だけで、ほとんどの病変を判定することができます。
口の中に、舌や歯肉に白っぽい、赤っぽい、傷がある、ゴワゴワ感、ひりひり感などに気付いたら、早めに口腔外科専門医などがいる病院で診察をお受けになる事をお薦めします。

第207回:感染症と医学

総合診療科 石田 孝雄 ☆
(日本消化器外科学会専門医/指導医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医 日本外科学会専門医/指導医)

生命(いのち)には、当然ではありますがその終わりがあります。しかし、終わるその日まで健康でいたい、元気でいたいと思うのは誰でも同じです。その昔、始皇帝が永遠の命を求めて彷徨い、不老長寿を求めた徐福伝説をはじめ、古今東西すべからく権力者も永遠の幸せと命を求めてきました。しかし、19世紀までの貧困な医学は人類を長生きさせるには力不足でした。20世紀になり、医学の発展は飛躍的になり、特に抗生剤の発見により飛躍的な寿命の延びを認めるに至りました。細菌感染がある程度統御できるようになったからです。しかし、21世紀に至り、また新しい課題が浮き彫りになってきました。感染症は一見克服されたかに見えましたが、しかし、自然科学の発展・医学の発展とともに複雑で微細な生き物が人類の行く手に立ちはだかっていることが明らかになってきました。その正体はウイルスです。がん、多くの難治性の感染症、エイズなど克服しなければならない多くの病気は、いまやウイルスが原因であることがわかっています。さらに多くの知見がうまれ、ウイルスによる感染症のさらなる克服が持たれるところです。人類が希求してやまないものは何かといえば、ウイルスの統御にほかなりません。ウイルスの統御の究極的な問題はDNAやRNAといった遺伝子の統御にほかなりません。分子生物学が人類をさらに幸福にすることに期待をしてやみません。平均寿命が延び、いまや日本をはじめ多くの先進国の政治課題の一つが高齢者問題であるといわれていますが、しかし、幸福で健康な老いは人類の願いであります。いかなる権力者もなしえなかった命の統御が、今、分子生物学者の手にゆだねられていると思います。現代の徐福に声援を送りたいのは私だけではないと思います。

第206回:新年のごあいさつ

理事長 前島 静顕 ☆
(東京医科歯科大学大学院臨床教授 日本外科学会認定指導医 日本消化器外科学会認定医)

 新年明けまして、おめでとうございます。平成25年年頭にあたり昨年1年間を振り返り、所感を述べさせていただきます。
 まずは、一昨年の3・11東日本大震災以来、自然界の激変は、地球規模で世界各国に大きな被害をもたらしています。日本全国で頻発する余震や豪雨、台風、豪雪などは、国民生活に想像を絶する被害をもたらしています。
 そして最大の問題点は、原発の是非についてでしょう。世界のすべての人が安心・安全に暮らせるよう早急な議論を期待したいと思います。昨年末の日本の政界も激震が走りました。衆議院選挙で、自民党が圧勝し、政権が3年ぶりに自民党に戻りました。早急に方針決定をすべき課題が山積状態ですから、全ての政治家に命懸けで国家再生のために取り組んでいただきたいと思います。
 次にわたしたちが直接関与する医療界でも、多くの課題が山積しています。限られた国家財政の中で、医療・福祉への財源も極めて厳しい状況の現在、医療費削減の政策が決定され、これが地域医療の崩壊に繋がる危険性が高いのです。
 日本の国民皆保険制度は発足から50年となり、世界一の良質な制度であります。全国民が平等で貧富の差のない、低医療費で最良の医療を受ける事が出来る、世界に誇れる制度です。私共日本医師会に所属するすべての会員は、この制度を死守して行きたいと望んでいます。その意味で、TPP参加には反対の立場であります。もしこの制度が実現すれば、我が国の誇る現在の医療制度が崩壊し、高額医療、自由診療等が行われる危険性が極めて高いのです。政権交代となった本年、我が国が世界に誇れる国になれますよう、「世界一幸福な国」になれますように見守って行きたいと思います。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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