健康セミナー 令和2年分

☆は現在在職しておりません。

第292回:『がん予防への自己意識』

外科 兼子 順
(東京医科歯科大学医学部臨床教授 日本外科学会専門医/指導医 日本消化器外科学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医 厚労省認定臨床研修指導医)

 最近の統計によると、本邦の約2人に1人が、がんに罹患するそうです。がんは早期発見・早期治療を行うと治癒が期待出来る疾患です。遺伝性のがんを除外すると、がんの発生に大きく関与しているのが慢性の刺激(炎症)です。例えば、咽喉頭がん、肺がんに大きく関与するのが喫煙による慢性炎症、肝がんは肝炎ウイルスやアルコール過剰摂取による肝炎、胃がんはヘリコバクターピロリ菌感染による慢性萎縮性胃炎が挙げられます。がんに罹患しない様に生活習慣を改善したり、既存良性疾患に対し治療を行う事により発がんのリスクを減らす事が可能な疾患もあります。
 「個人による生活習慣の改善により発がんのリスクを減らす方法」としては、咽喉頭がん、肺がん等に対する禁煙。肝がんに対する過剰なアルコール摂取を控える事などが挙げられます。
 「既存良性疾患に対する積極的な治療により発がんのリスクを減らす方法」として、肝がん発生の原因とされているウイルス性肝炎に関しては、肝炎ウイルスに効果的な治療薬が開発されたため、ウイルス性肝炎から肝硬変、肝がん発症のリスクが低下しました。
 胃がんは国家的指導による減塩政策、冷蔵庫の普及とヘリコバクターピロリ菌感染症に対する投薬による除菌療法により胃がん罹患数は低下傾向にあります。
 つまり、がん対策は炎症を起こさないようにする既存良性疾に対する前向きな治療と、自己管理や生活習慣の改善などの自己意識が未来の自分のために重要です。

第291回:『自分の足は自分の目で』

総合診療科 山形 健一
(日本外科学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器外科学会認定医 日本癌学会会員)

 今や国民病と言われている糖尿病。わが国では40歳以上の4人に1人が糖尿病です。そして年間3000人以上の患者さんが、糖尿病性壊疽によって足の切断を余儀なくされています。
 糖尿病の本体は患者さん自身のインスリンが足りない、もしくは効かないことによる高血糖の持続です。高血糖が持続すると血管の内側から活性酸素が大量に発生し、血管壁を破壊します。このようにして常にダメージを受けている足は、ちょっとした傷や水虫により感染や壊疽が起こりやすいのです。
 また糖尿病の方は足の感覚がにぶくなっていて、初期段階では痛みやかゆみを感じないことも多いのです。
 まずはご自分の足をよく観察しましょう。傷や水ぶくれはありませんか?
 赤いところ、黒いところはありませんか?
 足の水虫や爪の水虫はありませんか?
 気になる方はすぐ主治医に相談しましょう。
 また爪は切りすぎないように。適度な長さを保ち、爪の角は切り落とさないようにしましょう。
 冬場は湯たんぽ、こたつ、ストーブなどでのやけど・低温やけどに気を付けてください。白い靴下は足の保護に役立ち、出血した場合気が付きやすいですよ。足に合った靴をはくことも大切です。
 そしてなにより足はきれいに洗って清潔を保ちましょう。足のトラブルを避けるためには予防と早期発見が重要です。
 自分の足は毎日観察して生涯現役!

第290回:『抗癌剤感受性試験』

理事長 前島 顕太郎
(日本医科大学非常勤講師 日本消化器外科学会指導医/専門医 日本消化器内視鏡学会指導医/専門医 日本消化器病学会指導医/専門医 日本消化管学会胃腸科指導医/専門医/認定医 日本外科学会専門医 日本大腸肛門病学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 日本食道学会食道科認定医 厚生労働省認定臨床研修医指導医)

 新年あけましておめでとうございます。皆様お健やかに新春をお迎えのことと存じます。
 現代では抗癌剤の開発は進み、種類も多くなり、よく効くようになってまいりました。しかしながら癌の種類によっては効果の出にくい疾患もあります。
 一方で抗癌剤感受性試験というものが研究されております。抗癌剤治療の前に、治療を受けられる患者様の癌に効く抗癌剤の種類を判別するという検査で30年ほど前から高度先進医療として行われました。高度先進医療は、確立はされていないが有望な治療法・検査法を提供するため、その先端的な技術部分だけは患者様の実費負担で行われるものです。
 その後、大学病院などで研究が進められ、有用性が報告され2008年には保険適応となりました。しかしながら問題がありました。保険で認められた検査代金は、実際に抗癌剤感受性試験検査にかかる費用の約3分の1しか出なかったのです。このため実際に保険を使って行われることはあまりなく、さらにはこの検査を行っていた検査会社も検査受託を中止してしまいました。
 現在ではごく一部の大学病院で研究が続けられているのみです。私は研究がうまく進み、実臨床で活用されることを願っております。

Copyright © Hasuda Hospital all rights reserved.

このページの先頭へ

MENU