健康セミナー 令和4年分 | 蓮田病院

健康セミナー 令和4年分

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第319回:『薬の飲み方』

 麻酔科 上田朋範
(日本麻酔科学会麻酔科指導医/専門医 厚労省認定臨床研修指導医/プログラム責任者 日本医師会認定産業医 難病指定医 蘇生学会指導医)

 処方箋や薬の袋に書かれた「飲み方」の意味がよくわからない、と思うことはないでしょうか?「定期薬」と「頓服」の違いや「食前」「食直前」「食後」「食間」など、飲むタイミングを表す言葉の意味は意外と知られていなかったり、誤解されていることも多いようです。
 「頓服」とは症状が出た時だけ、症状を一時的に抑える時に飲む薬で、痛み止めや解熱剤などがその代表です。とはいえ、副作用の危険性を考え、一日の使用回数に上限があるのが原則です。
 「定期薬」とは症状に関係なく定期的に使う薬です。病気の中には自覚症状の全くないものもありますが、症状の有無に関わらず、定期的に決められたタイミングで飲まなくてはいけません。さらに定期薬には「食後」のように飲むタイミングの指示が必ずあります。これは食事の影響で薬の吸収が変化することもあるため、そのタイミングで飲んだ方が効果的なためです。
 「食前」とは食事の20〜30分前。「食直前」とは食事の5分前〜直前。お箸を持ったタイミングと考えて差し支えないでしょう。「食間」とは食事と食事の間で、概ね食事の2時間後です。「食直後」とは食後5分以内。「食後」とは食事が終わってから30分以内までですが、食直後でも大丈夫です。
 このように薬の種類によって様々な飲み方がありますが、飲み方を守ってきっちり飲まないと、効果が得られないどころか逆に副作用が目立ったり、不調の原因になったりして大変危険です。必ず指示された飲み方を守るようにして下さい。

第318回:『怪我の対処について』

 外科 長谷川 久美
(日本外科学会専門医/指導医 日本消化器外科学会専門医/指導医 日本消化器病学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 マンモグラフィ読影認定医)

 日常生活に怪我はつきものですが、外科手術の傷も人工的に作られた怪我です。以前は手術後には毎日、傷にイソジン消毒液をつけてガーゼ交換をしていました。抗生物質もたっぷり投与していました。
 ところが最近は、イソジンは創の治癒に有害だということがわかってきました。イソジンは皮膚の上の菌はへらすものの、皮下の白血球などの細胞を障害死滅させてしまうので、その結果壊死物質が増えてかえって菌が増殖し、傷の治癒を遅らせてしまうのです。思い返せば以前はなぜか術後に創の感染が多く、ますますイソジン消毒をたっぷり用いていたことを思い出します。またむやみな抗生剤点滴は、無意味であるばかりかMRSAなどの抗生剤の利きにくい菌を増やし不利益であることが判明して、ずっと用いないようになっています。
 すべての怪我において基本は、消毒せず、創面の異物を除去したのち、水道水で洗浄するということです(一日一回でよい)。特に高齢の方で、「傷は濡らしたり洗ったりしてはいけないもの」と思い込んでいる方が非常に大勢います。むしろ反対で、たまった古い浸出液(傷口からでる体液)を流すことで菌の繁殖を予防します。泡状石鹸を使っても使わなくてもよく、水で洗うことが何より重要です。そのあと乾燥しがちにならないようにガーゼで保護します。これさえ守っていれば自然に治ることがほとんどです。
 ご自身で判断するのがやはり難しい場合は、いつでもご相談ください。何より怪我をしないことが一番ですね。

第317回:『ビックデータ(NBDデータ)からわかる歯の数と医科医療費の関連』

 歯科 秋月 弘道 (日本口腔外科学会指導医 日本口腔外科学会専門医)

 近年、NDBデータ(医科と歯科の保険診療情報)を活用した分析でいろいろな結果が得られてきました。最新の研究報告では歯数が少ない人、欠損歯数が多い人ほどアルツハイマー型認知症のリスクが高く、20〜28本の歯がある人を1とした場合、10〜19歯の人は1・11倍、1〜9歯の人は1・34倍もアルツハイマー型認知症と診断されています。また、欠損歯が多いほど誤嚥性肺炎で医科受診をしているという結果があります。1〜14本の欠損歯がある人を1とした場合、15〜27本の欠損歯のある人では1・67倍、28〜32本の欠損歯がある人は3・14倍も誤嚥性肺炎のリスクが高いことがわかりました。特に〝歯の健康寿命〞をいかに延伸するかということが、アルツハイマー型認知症や誤嚥性肺炎などの高齢者に起こりやすい病気を防ぐ鍵を握っています。現在、70歳を超えると歯の平均本数は20本を切り、欠損歯がだんだん増えてきます。歯は〝臓器の一部〞であり「噛むこと」をはじめとして義歯では得がたい機能も多く、1本でも歯が減ると医科医療費が直線的に増えていくことがわかっています。これらの傾向は50歳代や60歳代においても高齢者と同様に歯の本数が減るほど医療費が高くなることがわかってきました(図)。

この分析結果から見えてきたのは40〜60歳代の働く世代の歯科予防対策が重要だということです。今から歯の状態や口腔衛生、口腔機能の状況に関心を持って頂くことが大切だと思います。
参考文献:Health ScienceCare 2017;17(1):36-37

第316回:『慢性便秘症診療の進歩』

 外科 兼子 順 (東京医科歯科大学医学部臨床教授 日本外科学会専門医/指導医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医 厚労省認定臨床研修指導医)

 便秘症は古くから人類共通に認められる約15〜30%と高い有病率の消化管障害であり、高齢化や生活習慣病の広がりにより患者数は増加傾向にあります。今までは便秘に定義がなかったため、本邦に於いて2017年に慢性便秘症診療ガイドラインが作成され、便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しました。何日以上排便がないのを安易に便秘とは言わないのです。
 さらに、慢性便秘症はその原因から器質性と機能性の二つに分類され、症状から排便減少型と排便困難型の二つに分類されます。器質性便秘で狭窄を伴うものに、大腸癌、クローン病などがあり、非狭窄性では巨大結腸や腸重積などが挙げられます。機能性便秘の病態は多様であり、大腸通過遅延型(薬剤性や他疾患による症候性など)・大腸通過正常型(食事や食物繊維の摂取不足や便の水分不足など)・機能性便排出障害(腹圧低下や直腸感覚低下など)の三つに分類されます。
 今も便秘を訴えられると、安易に下剤(特に刺激性下剤)が処方されているのが現状です。刺激性下剤の中には強い副作用や、長期運用により依存性や耐性が出現して腸の蠕動運動が低下し、ひいては難治性便秘になる危険性も指摘されています。ガイドラインでは、膨張性下剤や浸透圧性下剤、上皮機能変容薬を基本薬剤とし、必要に応じて刺激性下剤を頓用で使用する事が推奨されています。
 医療側も患者側も便秘症について更に勉強する必要があります。

第315回:『肩、こってますねー!』

 総合診療科 山形 健一

 コロナ禍の続く現代においては、日常の運動不足やリモートワークの増加等で、皆さん肩こりに悩まされていませんか?私ども臨床医も、連日猫背や前かがみの姿勢を長時間強いられることが多く、肩こりに悩む同僚がたくさんおります。我が国においては、日常的になんらかの慢性症状を感じている方のうち肩こりでお困りの方は、成人男性の2位(1位は腰痛)、女性では1位だそうです。
 肩こりは頚から肩甲骨周辺にかけての筋緊張、重圧感、鈍痛の総称です。同じ姿勢を取り続けると、頭や腕を支える筋肉が持続的に緊張を強いられます。それによって筋肉が硬くなり血液やリンパ液の循環障害が起こると、酸素や栄養分が末梢まで届きません。すると疲労物質が蓄積し、それが刺激となって肩こりを起こすと考えられています。ですから同じ姿勢を長時間とりすぎないこと、適度な休憩やストレッチ体操が重要なわけです。
 ただ肩こり症状のかげに別の病気が潜んでいることがあります。高血圧の方は交感神経系の興奮から肩こりや頭痛が自覚されることが多いです。また腕のしびれ、特に片側だけ強い症状がある場合は頸椎の病気が疑われます。
 そして一番気をつけなければならないのは、突然起こった肩こり、特に肩方向に痛みが拡がり放散していくような場合です。このような肩こり痛は、狭心症などの心・血管系疾患の可能性があります。狭心症・心筋梗塞は特に12月から2月ごろに起こりやすく、冬場は夏場の約1・5倍の発症率です。いちがいに「肩こり」といっても他の病気のサインであることも多いのです。

第314回:『新型コロナウイルス3年目』

 理事長 前島 顕太郎
(日本医科大学非常勤講師 日本外科学会指導医/専門医 日本消化器外科学会指導医/専門医 日本消化器内視鏡学会指導医/専門医 日本消化器病学会指導医/専門医 日本消化管学会胃腸科指導医/専門医/認定医 日本大腸肛門病学会指導医/専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 日本食道学会食道科認定医 厚生労働省認定臨床研修医指導医)

 新年あけましておめでとうございます。皆様お健やかに新春をお迎えのことと存じます。
 昨年はコロナが猛威をふるいました。特に日本においての「第5波」は、相当の感染者数と死者を出しました。本稿を執筆している現在は、感染者数は激減し落ち着きを取り戻しつつあります。ワクチン接種の普及や感染対策によるものと推察されていますが、海外に目を向けるとワクチン接種が進んでいる国でも感染者の再増加をうけている地域もあり、予断はゆるさない状況です。日本でも、「第6波」が来ることに対し危機感をもっているかたも多いと思います。
 そのようななか、抗体カクテル療法などに加え経口薬の使用が始まろうとしています。ワクチンの3回目接種も検討されています。新型コロナウイルスとの闘いは3年目に突入しました。
 しかし、このような状況が永遠と続くことは無いはずです。いつか克服し、日常を取り戻せる日が来るはずです。それまでできることは、やはり基本的な感染防止対策であると思います。今一度、再確認し行いましょう。
 感染防止の3つの基本、①身体的距離の確保(ソーシャルディスタンス)②マスクの着用③手洗い・手指消毒です。

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