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『口腔ケア、がん転移抑制の鍵に』

  • 2024.04.15

歯科口腔外科 秋月 弘道

 むし歯の原因菌であるミュータンス菌(Streptococcus mutans)は、むし歯の多い人や口腔内の衛生状態の悪い人の口腔内に多く存在します。
 このミュータンス菌は口腔内の傷や歯周病の炎症組織から血液に中に入り込むといわれています。血管の中に入り込んだミュータンス菌は血管の内側の細胞に炎症を起こし、がんの転移を促進することが以前から報告されていました。
 さらに最近、このミュータンス菌が血管内での血栓(血液の塊)形成やがんの転移に影響を及ぼすことについて新しい研究結果が発表されました。この研究では、ミュータンス菌の刺激により、血管の内側の細胞で血液を固まらせるときに働く血小板の活性化や血小板の凝集する働きが亢進されることが観察されました。また、血管の内側への好中球の集まりも促進させることが示されました。さらにがん血行性転移を調べる動物実験では、ミュータンス菌を注射した肺組織では、通常の肺組織に比べ腫瘍細胞の数が多いことが明らかになりました。
 これらの結果、口腔内のミュータンス菌が血管の中に入ると血栓形成を促進し、がん細胞の血管への接着の増加しがんが転移しやすくなることを示しており、「がん患者の口腔衛生状態を良好に保つことは、がん関連血栓症やがん転移抑制に重要であることが示唆された」と述べています。
 がんの患者さんに限らず、日頃から、むし歯をきちんと治療して、適切な口腔ケアを行い口腔内のミュータンス菌を少なくしておくことが大切です。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
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