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『栄養障害について』

  • 2023.09.15

 内科 丸野 要(日本外科学会指導医/専門医 日本消化器外科学会指導医/専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本乳癌学会認定医)

 栄養障害は低栄養状態ともいいます。これには2つのタイプがあります。マラスムスとクワシオルコルです。マラスムスは長期間の蛋白質・エネルギーの両方が欠乏することによっておこります。蛋白質合成の原料も少なく、また合成するエネルギーも少ない状態で、開発途上国の乳児や小児にみられる飢餓の状態です。著明な体重減少、脂肪および筋肉組織の減少がおこります。そのわりには血清アルブミン値は正常に保たれ、浮腫もおこりません。飢餓以外には長期間栄養が摂取できていない消化器悪性腫瘍の終末期にみられます。
 次にクワシオルコルですがエネルギーに比して蛋白質摂取が不足している状態です。つまりエネルギーは十分あるが、蛋白質が合成できない状態です。貯蔵エネルギーである脂肪は減少せず、皮下脂肪は保たれており、脂肪肝となることがあります。しかし、蛋白質は合成できないので低蛋白血症となり、浮腫や腹水を伴うことがあります。これはエネルギー利用と蛋白質合成のアンバランスによるもので、様々な侵襲が加わった時(手術後、外傷後、熱傷後)におこります。
 このような病態時には、蛋白質とエネルギーの供給に問題がなくても、脂肪代謝や蛋白代謝が障害され蛋白質の崩壊が合成をうわまわることにより、低蛋白血症となり浮腫が出現し、体重はむしろ増加します。マラスムスに対しては蛋白質とエネルギー源となる脂肪や炭水化物およびビタミン、微量元素を同時に補給します。クワシオルコルに対してはエネルギー源となる脂肪や炭水化物は不足していない場合が多いので、原因となる病態を治療したあと蛋白質を中心に補給します。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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