整形外科 寺山 恭史
指の関節がこわばる、動かしづらいという症状。歳のせいだからと思ってはいませんか。腱鞘炎は、指を曲げる腱の滑走が悪くなってしまうために、手がこわばったように感じます。指の関節が曲げづらかったり、指をのばすと痛いというのが主な症状です。
朝起きた時に症状が出やすく、症状が強い方は指を曲げたり伸ばしたりする時に、カクッと動く〈ばね現象〉がおきます。指の病気のように思われがちですが、実は炎症が起きているのは主に手の平の部分です。よく、炎症部分を揉んだり、マッサージをうけたりしている方がいますが、それは患部を刺激してしまい、むしろ炎症を悪化させてしまいます。
治療は手をあまり使わないように安静にすることですが、痛みが強い方は指を動かさないようにしすぎてしまうため、指が固まってしまう〈拘縮〉がおきてしまうことがあります。一度指が拘縮すると、改善に長時間かかったり、拘縮が残ってしまうこともあるため、指のストレッチがとても大事になります。
症状の重い方には腱鞘内注射がよく効きます。しかし、症状を何回も繰り返してしまう方には、手術療法をお勧めすることもあります。
指が何となく使いづらいけど、病院に行く程じゃないからと、間違った自己治療をしている方が多くいらっしゃいます。似た症状が出る病気として、指の変形性関節症や、関節リウマチなどの病気もあります。診断、治療法を間違えると、長い間手の使いづらさに悩まされることがあります。
気になる方は整形外科医や、手外科専門医にご相談ください。